マンチェスター・ユナイテッドが今夏、ベルギー代表MFユーリ・ティーレマンスをアストン・ヴィラから獲得した。この移籍は迅速に進んだかのように見えたが、『ジ・アスレティック』の報道によれば、実はユナイテッドは2019年からティーレマンス獲得に三度も迫っていたという。様々な理由で実現に至らず、今夏、アタランタのMFエデルソンの移籍交渉決裂と、ヴィラとの契約に設定されていた解除条項が、最終的にこの取引を成立させる転換点となった。
- マンチェスター・ユナイテッド、三度の機会を逸す - 2019年に最初の接触
2018-19シーズン終了後、ティーレマンスはモナコからの退団を決意し、マンチェスター・ユナイテッドは彼の動向を注視していた。ポール・ポグバの去就が不透明だったことに加え、ティーレマンスがレスター・シティでの成功したレンタル期間を終えたばかりだったため、オールド・トラッフォードは彼の有力な移籍先の一つと見られていた。
しかし、最終的にポグバの退団は認められず、ティーレマンスが加入してもベンチスタートとなることが予想されたため、彼はレスター・シティに戻り、正式に完全移籍を果たした。
結果的にマンチェスター・ユナイテッドは中盤の補強を見送り、その翌年にドニー・ファン・デ・ベークを獲得することになった。
- テン・ハーグ監督は再検討も、最終的にはカゼミーロを選択
2022年夏、ティーレマンスの契約は残り1年となり、マンチェスター・ユナイテッドの首脳陣は再び彼の獲得の可能性を検討した。
当時のエリック・テン・ハーグ監督は彼を優れた選手と評価していたが、異なる特性を持つ中盤の組み合わせを望んでいた。そのため、クリスティアン・エリクセンのフリーでの獲得を承認し、フレンキー・デ・ヨングの獲得を強く追い求めたが、最終的には6,000万ポンドでカゼミーロを獲得した。
報道によると、マンチェスター・ユナイテッドのスカウト部門は当時、ティーレマンスに対して懸念を抱いていたという。FAカップ決勝での決勝点を挙げたにもかかわらず、彼の全体的なパフォーマンスが低下していると判断していたのだ。
- フリーの状態でも鳴かず飛ばず、ヴィラが逆風の中で獲得に動く
2023年夏、ティーレマンスは契約満了でフリーとなった。
レスター・シティの降格と自身のコンディション低下もあり、マンチェスター・ユナイテッドやアーセナルといった多くのビッグクラブは獲得を見送った。スカウト界では、長年の激しいプレーが彼の体力を「燃え尽き」させ始めているのではないかという疑念が浮上し、彼の運動能力や機動性について疑問が呈されていた。
しかし、アストン・ヴィラは異なる見方をしていた。
クラブのデータ分析部門は、ティーレマンスのパフォーマンス低下は体の機能低下によるものではなく、失敗するチームに所属していたことが主な原因であると判断。2023年1月にはすでに彼の代理人と接触を開始し、彼を「8番」のポジションの最優先ターゲットに位置づけていた。
ウナイ・エメリ監督は自らティーレマンスの自宅を訪れ、ヴィラへの移籍を説得。最終的に獲得を成功させた。
- 契約解除条項は選手側が要求
情報筋によると、ティーレマンスがヴィラに移籍する際、選手側が契約解除条項の挿入を強く求めており、ヴィラもその要求を受け入れたという。この条項がなければ、移籍自体が成立しなかった可能性があると判断したからだ。
クラブは将来的に選手を失う原因となる可能性を承知していたが、当時まだ複数のクラブが獲得を争っていたため、譲歩せざるを得なかったのだ。
ヴィラの首脳陣は、エメリ監督の戦術システムにおいて、ティーレマンスの位置取りの良さとパス能力がスピード不足を補うことができると確信しており、彼の潜在能力に大きな期待を寄せていた。
- エメリ監督が再構築に成功、ティーレマンスはキャリアの絶頂期を迎える
ヴィラ加入後、ティーレマンスは最高のコンディションを取り戻した。
2024-25シーズンには、53試合中52試合に先発出場し、合計4,511分間プレー。1995-96シーズンのアラン・ライトとマーク・ボスニッチ以来となる、シーズン50回以上の先発出場を果たしたヴィラの選手となった。
安定したパフォーマンスで彼はクラブ年間最優秀選手など数々の賞を総なめにし、自身の体力や連続してプレーできる能力に対する外部からの疑問を完全に打ち砕いた。
前シーズンはふくらはぎと足首の負傷で35試合出場にとどまったものの、ヴィラはこれを個別のケースとみなし、契約更新を望んでいた。
- エデルソンのメディカルチェックに問題、ユナイテッドはティーレマンスへ転換
今夏、マンチェスター・ユナイテッドの第一ターゲットはティーレマンスではなく、アタランタのブラジル代表エデルソンだった。
両クラブは移籍金約4,050万ユーロとボーナスでの合意に達しており、個人条件も交渉済みだった。しかし、エデルソンはワールドカップ期間中にブラジル代表に緊急招集されたため、メディカルチェックのスケジュールが遅延した。
彼はまずアメリカで予備検査を受け、その後イギリスに戻って詳細なメディカルチェックを行った際、医療チームが潜在的な問題を発見。最終的にマンチェスター・ユナイテッドはこの取引を断念した。
その直後、マンチェスター・ユナイテッドはティーレマンスの契約に3,500万ポンドの解除条項があることを知った。さらに、ティーレマンスはワールドカップでキャプテンとしてベルギーを牽引し、目覚ましい活躍を見せていたため、クラブは直ちに獲得交渉を再開した。
- ティーレマンスがエメリ監督に電話、退団に祝福を受ける
マンチェスター・ユナイテッドからの正式な接触を受けたティーレマンスは、まずエメリ監督に電話をかけ、マンチェスター・ユナイテッドと交渉したい旨を直接伝えた。
エメリ監督は愛弟子の流出に失望したものの、選手が世界的なビッグクラブへの移籍を望む気持ちを理解したという。
その後、ティーレマンスの代理人はヴィラのダミアン・ヴィダガニーフットボールディレクターとも良好なコミュニケーションを維持し、最終的に円満な形で取引が完了した。
マンチェスター・ユナイテッドへの移籍が決まった後、ティーレマンスはヴィラのファンに向けてお別れのビデオメッセージを撮影し、3年間のクラブからのサポートに感謝の意を表した。
- 5年契約が物議を醸すも、ユナイテッドは「リスクなし」と判断
ティーレマンスは最終的にマンチェスター・ユナイテッドと5年契約を結んだ。契約が満了する際には34歳になる。
一部の業界関係者は、彼の年齢と、これまでのクラブ戦578試合、国際戦90試合という負担を考えると、5年契約はやや長いのではないかと指摘した。しかし、ブルーノ・フェルナンデスやエデルソンの獲得を逃した後、迅速に補強を完了させたいマンチェスター・ユナイテッドが、より大きなコミットメントをすることを選んだと見る向きもある。
ユナイテッドの内部関係者は、ティーレマンスを「素晴らしい獲得」と評しており、その実力は言うまでもなく、プロフェッショナルな姿勢が若い選手たちの手本となると考えている。
一方、ヴィラは重要な中盤の核を失ったことを惜しんでいるものの、クラブ全体が彼に敬意を抱いており、公式声明ではティーレマンスを「ロッカールームで愛され、高く尊敬されたメンバー」と形容した。
ヴィラは現在フライブルクのMFヨハン・マンザンビの獲得に迫っており、またウォルヴァーハンプトン・ワンダラーズからジョアン・ゴメスの獲得も計画しており、中盤の再編成を進めている。アマドゥ・オナナが膝の重傷で長期離脱しているため、ヴィラの来季の中盤の布陣は大きく変わるだろう。一方、マンチェスター・ユナイテッドは、経験豊富でチャンピオンクラスのクオリティを持つ中盤の選手を獲得し、新しい中盤の構築において重要なピースを手に入れた。
ニュースソース: The Athletic
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